専門家

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・・・。ある専門領域が有用であるとされるのは、別の分野の専門家とコラボレーションすることによってのみだからです。

 『ナヴァロンの要塞』でも『スパイ大作戦』でも、「チームで仕事をする」話では、爆弾の専門家とか、コンピューターの専門家とか、外国語の専門家とか、格闘技の専門家とか、変装の専門家とか、色仕掛けの専門家とか、そういうさまざまな専門家が出てきます。彼らがそれぞれの特技を持ち寄って、そのコラボレーションを通じて、単独では成し遂げられないほどの大事業が実現される。

 他の専門家とコラボレートできること。それが専門家の定義です。他の専門家とコラボレートできるためには、自分がどのような領域の専門家であって、それが他の領域とのコラボレーションを通じて、どのような有用性を発揮するかを非専門家に理解させられなければいけません。

 自分が何の分野の専門家であるかを、他の分野の専門家たちに理解させることのできない専門家には、誰からもお呼びがかかりません。これが「専門家」という存在の背理です。

街場の教育論- 内田樹


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